後世に残したいコピペ集
229 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:14:45
230 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:15:28
テレビにニュース速報がはいる。
オレはあわててパソコンを立ち上げ、そして気づく。
「あぁ、2chは閉鎖したんだっけ……」
テレビからは現場のあわただしい状況がつたわってくる。
もし2chがあったら、どういうスレが立っているのだろう。
重複スレがたくさんできて、それで荒らしとかがやってきて……
テレビではあいかわらず、レポーターが現場の状況を必死で伝えている。
かわいらしいレポーターだ。
オレは頭のなかで「萌え〜」というレスをつけている自分を想像した。
うしろの群集がテレビにむかって挑発的なポーズをとっている。
「なんだ、あのドキュソ」「厨房氏ね」231 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:16:31
……そんな言葉を無意識のうちに発していたオレは、
ないとはわかっていながら、ふたたび2chにアクセスした。
しかし、画面には1行だけ「閉鎖しましたです。。。」としか表示されない。
何度リロードしてもおなじだ。
あの夏のあの日をかぎりに、もう2chはなくなったのだ。
どうやら犯人が逮捕されたようだ。
あいかわわらず可愛いレポーターがその状況をつたえている。
「さよなら、2ちゃんねる」
オレはお気に入りから2chを削除した。
そして、さわがしいニュースをさめた目でみつづけた。232 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:17:19
「2ちゃんねる復活!」
ちょっとした友人からオレはそのことをきいた。
まさか! オレははやる気持ちをおさえ、
PCの電源をいれるや否や、目的のアドレスへと飛んだ。
あの夏から一体どれくらいの時間が流れたんだろう。
もう二度とよみがることはないと思っていたあのころを懐かしく思い出しながら、
検索にかけてみる。……あった! 本当にあった! 万歳!
2chが復活したんだ!
オレはまようことなくニュース速報板へとかけこんだ。
そう、オレがいちばん好きだった板へ。
またみんなに……みんなに会えるんだ!233 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:18:05
……だが、ならんでいたのは醜悪なスレの数々だった。
「韓国の皆さん!仲良くしましょうpart22(128)」
「田島陽子先生がんばって!(255)」
「ゴローちゃん復帰を応援するスレ part51(232)」
新生2chは日本一の超健全サイトへと生まれ変わっていたのだった。
オレの強すぎた期待は一瞬にして打ち砕かれた。
のちにきいた話では、経営陣もすっかり一新され、
ひろゆきも普通のサラリーマンとして暮らしているらしい。
2chの名のもとにかわされる退屈な話題とナレアイの言葉。
そこには思い出のかけらさえ残ってはいなかった。
刹那、オレはおさえていた気持ちを吐き出すように書きこんだ。
「逝ってよし!」
「オマエモナー」
「(゚Д゚)ハァ? 」
……まわりの反応はひややかだった。
いや、冷ややかどころか、なんの返答もなかったのだ。
だれにも理解されないまま、オレはその場所を立ち去るしかなかった。
もう、オレの居場所はどこにもないのかもしれない。234 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:29:05
それから数日後、オレはある一大決心のもと、思い切ってスレを立てた。
「旧2ちゃんねるメンバー集まれ!!復活祭だゴルア!!(1)」
もしかしたらオレとおなじ気持ちの人たちがいるかもしれない……
いや、たとえいなくてもいい。オレの言葉に反応してくれるだけで満足だ。
なつかしいフレーズが脳裏によみがえってくる。
〜「クソスレ立てんなヴォケ!」
〜「駄スレ逝ってよし!」
〜「あなたを悲惨な1に認定します」
……だが、新生2chにはそんな煽りの言葉さえなかった。
だれからもレスをつけられることなく、急速にしずんでいくオレのスレ。
それでもオレはまちつづけた。
そしてあくる日、たったひとつのレスがついた。
「ここはみんなの掲示板です。以後、不適切な発言は削除させていただきます。(管理人)」
オレはしずかにパソコンの電源をきった。
しらない間に、ひさしぶりの涙が頬を伝っていた。
だが、ながい冬はまだ始まったばかりだった。
235 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:30:17
それから3年がすぎた。
オレは家業の酒屋を継ぎ、分相応な女性と結婚した。子どもも2人いる。
ささやかな、でも不満のない日々を送っているのだった。
むかしほどにはパソコンを立ち上げる機会はへった。
オレにとってネット=過去の2chだったのだから、
良識ある人々ばかりがつどう退屈きわまる現在の2chには何の興味もわかなかった。
オレの青春は誹謗と中傷にまみれた過去の2chとともにあったのだ。
そして、青春も2chも二度と戻ってはこないと思っていた。
そう、1通のメールが届くまでは。
その1通のメールは、出会いをもとめる人びと云々という、
よくあるくだらない広告メールだった。
だが、そこに書かれた一文は、
オレの平穏とした心を掻き乱すのに充分すぎるほどの衝撃だった。
あの裏2ちゃんねるでも話題沸騰!
ウソだと思うなら実際に裏2ちゃんねるにアクセスしてみて!
236 名前: 名無し物書き@推敲中? 投稿日: 2005/10/22(土) 14:32:11
裏2ちゃんねる──当時、初心者をだます手段として利用されていた。
実際にはそんなものなどなかったのだが、
けがれなき者たちは率先して(そして純真に)、
言われるがままに書きこみをし、
自分のIPをさらしていた。
瞬時に当時を思い起こしたオレは、懐かしさにせかされながら、
そのメールにかかれた裏2chのURLにアクセスした。
そのURLは実在した。
そして、たしかに『裏2ちゃんねるへようこそ!』という見出しがでていた。
オレは妻の夕食をつげる声を無視し、『入り口』をクリックした。
すると、警告音とともにパスワードを入力してくださいというダイアルボックスが出現した。
「真の2ちゃん住民であったおまいらなら、裏2ちゃんの行き方くらいわかる罠」